国の繁栄のためのカルト教団対策

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国の繁栄のためのカルト教団対策

合理的な寛容と穏健

以上に述べた教会管理の方法、もっと適切に表現するなら教会無管理の方法は、独立協会派と呼ばれる教団、疑いもなく極端に狂信的な教団が、イングランドの政策として採用するよう、清教徒革命の末期に提案したものである。

起源はきわめて非合理的であったがこの提案が採用されていれば、百年経ったいまでは、宗教上のどのような種類の考え方についても、合理的な寛容と穏健の姿勢がとられるようになったはずだ。

ペンシルベニアはこの政策を採用しており、クエーカー教徒がもっとも多いのだが、法律上、どの教団も優遇されておらず、寛容と穏健の合理的な姿勢が生まれてきたという。

国富論第五編第一章第三節第三項 生涯教育のための機関の経費

クエーカー教徒

https://ja.wikipedia.org/wiki/クエーカー

https://en.wikipedia.org/wiki/Quakers


二つの道徳観

文明社会では、つまり階級の違いがはっきりするようになった後の社会では、道徳について考え方や体系がいつも二種類ある。

一方は厳格で禁欲的な考え方、他方は自由な考え方、だらしないともいえる考え方である。

厳格な考え方は通常、庶民が大切にし、尊敬する道徳観だ。

自由な考え方は一般に、上流階級が大切にし、とりいれる道徳観である。

浮かれ騒ぎという悪徳、景気が良いときや陽気なお祭り騒ぎが行き過ぎたときに生まれがちな悪徳をどこまで非難すべきなのかが、二つの考え方の主な違いのようだ。

国富論第五編第一章第三節第三項 生涯教育のための機関の経費

「厳格な考え方」は、保守派、右派、王党派、守旧派、古典主義、庶民階級、禁欲主義

「自由な考え方」は、リベラル派、左派、改革派、革新派、進歩主義、上流階級、快楽主義

ステレオタイプに分けられるものではないだろうが、ある程度、今の自分の立ち位置を、自身の所属する家族、職場、地域、国、世界全体などすべてのコミュニティの中で、「相対的」に「つねに」把握しておくことが大切ではないだろうか。

もちろん「絶対的」に把握することが理想であるが、それを求めることこそ神学的・形而上学的な思考に陥り、狂信的・迷信的なカルト宗教へ導かれる可能性が高いと思われる。


国の役割

第一は、中流以上の地位と資産をもつ人のほぼ全員が、科学と哲学を学ぶようにする方法である。

科学の学習は、狂信と名神の害毒をおさえる偉大な解毒剤であり、中流以上の階級が狂信と迷信の害毒を受けなければ、下層の階級がこれらに触れる機会も大幅に少なくなる。

国富論第五編第一章第三節第三項 生涯教育のための機関の経費

第二は、大衆がもっと頻繁に、もっと面白い娯楽を楽しめるようにする方法である。

国が大衆娯楽を奨励するには、中傷や猥褻にならないかぎり、自分の利益のために娯楽と気晴らしを提供しようとする人に完全な自由を認めるだけでいい。

そうすれば、絵画、詩、音楽、舞踊、各種の演劇や興行がさかんになって、ほぼいつでも大衆の名神や狂信の温床になる陰鬱な気分が大部分、簡単に吹き飛ぶだろう。

国富論第五編第一章第三節第三項 生涯教育のための機関の経費

なるほど、カルト教団がつけこむのは、「非科学的な思考」と「陰鬱な気分」であろう。

科学を学習することによって、「奇跡」のような喜びを求めることはなくなり、また、自由に娯楽に触れることができれば陰鬱な気分になることもない。


教育現場として

現在、公的な教育分野で行われている内容は主に、科学(自然科学・人文科学)と芸術(美術、音楽、書道など)、そして体育(各種競技、武道、ダンスなど)であろう。

ただ、国が娯楽分野(上記いわゆる芸術的な分野)を教養という美名のもとで、義務教育として強制するのはいかがなものか。

趣味として楽しむことのできる仕事は、その事業全体として期待される利益率は低い。つまりギャンブル的要素が高いことは先述のとおり。

また、娯楽の分野の個人の能力について、他の科学の学習と同様に順位づけをすることは、娯楽として楽しめなくなる可能性さえある。

子供の頃に、音楽の授業で「音痴」であることが露呈し恥ずかしい思いをしたことが、その後、歌を歌うという娯楽を取り上げることになってしまう可能性は高い。

アダム・スミスは国が強制すべき分野は「科学」と「哲学」というのみで、いわゆる「芸術」など娯楽的な分野の技能の習得についてはとくに触れていない。

しかし、美術・音楽・演劇・舞踊(ダンス)など、アダム・スミスのいう娯楽として楽しむべき芸術分野の能力を、国の公的な教育現場において一律に評価すべきではないと思う。

そもそも、芸術分野の能力の評価基準を、国や教師が決めるべきものではないだろう。


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