使用価値と価値
一商品の価値は、それが「交換価値」として表現されることに依り、独立した形に言い現されるのである。
本章の冒頭に於いては、通俗的に、商品は使用価値及び交換価値であると言ったが、それは厳密に言うと誤りである。
商品は使用価値即ち使用対象であって、且つ『檟値』なのである。
斯くして、各商品の中に包まれている使用価値と価値との内部対立は、外部的の対立に依り、換言すれば価値が言い現さるべき商品を直接単に使用価値としてのみ通用せしめ、反対に、価値を言い現す方の商品を単に交換価値してのみ通用せしむるニ商品間の関係に依って、表現されることになる。
要するに一商品の単純なる檟値形態は、その商品の中に含まれている使用価値と価値との対立の単純なる現象形態となるのである。
資本論第一巻第一冊
使用価値とは、厳密には「檟値」と言う表現は適切ではない。
等価方程式で現される、左辺(相対的価値対象)は、使用対象であって使用価値ということになる。
なぜなら、左辺は通常、消費者が購買する商品が当てはまり、交換する予定はない生活必需品又は利便品である。
つまり、使用するため又は消費するための商品なので「使用価値」を持つというのである。
一方で、使用価値の価値を現す(このような表現を使わざるを得ない)右辺は、等価形態として存在し、「交換価値」をもつという。
なぜなら、通常等価形態は、使用価値の価値を媒介するという役割を果たすために存在しており、決して生活必需品や利便品として使用又は消費されることはないからである。