物の価値は「三斜法」で測る

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物の価値は「三斜法」で測る

物々交換する場合は、お互いにとって、物の価値(ここでは使用価値)は同じか、それ以上であろう。

そうでなければ、交換するに値しない。

それらの物の交換比率がどうであろうとも、この比率は、常に、ある与えられた分量の小麦がどれだけの分量の鉄に等置される一つの等式、たとえば、1クォーターの小麦=aツェントナーの鉄の鉄によって表せうる。

資本論(一) 商品の二因子、即ち使用価値と価値(価値の実体と価値の大小)

使用価値とは、極めて抽象的な概念で、直接に定量化することはできないようだ。

然し、物々交換において、上記のような投資が成り立つということは、何らかの価値を定量化する基準となる「単位」や「尺度」が存在するものと推定される。

ここで、土地の面積などを図面上で測るときの「三斜法」が登場する。

簡単な幾何学上の一例がこのことを明らかにするであろう。

およそ直線形の面積をはかり、比較するためには、それをいくつかの三角形に分解する。</p>

三角形そのものは、その目にみえる形とはまったく異なる表現──底辺×高さ÷2──に還元される。

これと同じように、諸商品の諸交換価値もある共通物に還元されて、諸交換価値は、この共通物の多量または少量を表すことになる。

資本論(一) 商品の二因子、即ち使用価値と価値(価値の実体と価値の大小)

物の価値を測るために、何らかの三斜法で使う三角形のようなある「共通物」が存在するというのだ。

もちろん、三角形にもいろいろな形があるよう、その共通物にもいろいろな使用価値という「質」の違いがあるだろう。

その「質」とは、いろいろな「有用性」と言っていいのかもしれない。

しかし交換における価値は、三角形が「面積」というその形には関係のない尺度で測られるように、使用価値といった「質」ではなく何らかの共通の「量」で表される必要がある。

つまり、物々交換といった場面での所謂「交換価値」が存在するということは、使用価値とは関係なく、その価値を「量」として表す共通の「単位」「尺度」があるはずだ。

この交換価値の内部では、一つの使用価値は──それが適当な比率で存在していさえすれば──他のどの使用価値ともまったく同じものとして通用する。

あるいは、老バーボンが言うように、「一つの種類の商品は、その交換価値が同じ大きさならば、他の種類の商品と同じである。同じ大きさの交換価値を持つ諸物の間には、いかなる相違も区別も実存しない

資本論(一) 商品の二因子、即ち使用価値と価値(価値の実体と価値の大小)

三角形はその形状(質)こそ違えど、面積はその形状にかかわらず測られる。

そして面積という「量」には、三角形という形状による相違や区別は存在しない。

使用価値としては、諸商品はなによりもまず、相違なる質であるが、交換価値としては、相違なる値でしかありえず、したがって、一原子の使用価値も含まない。

資本論(一) 商品の二因子、即ち使用価値と価値(価値の実体と価値の大小)

多種多様な使用価値をもつ「商品」は、つまるところ「多角形」なので、三斜法で測られるその「面積」は三角形とは何ら関係はないからである。

多角形の「面積」には、三角形という形状的な要素は一切含まれていない。

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