外国製品に対する物品税の効果

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外国製品に対する物品税の効果

税金のために価格が上昇したのが外国商品であれば、同じ種類の国産品が国内市場である程度有利になり、その商品を生産する国内産業で生産が増える可能性がある。

外国商品の価格が上昇した結果、国内産業の一部門が刺激を受ける場合もあるわけだが、それ以外の部門はほとんどすべて、かならず不利になる。

たとえば、バーミンガムの製造業者が買う外国産ワインの価格が高いほど、製造した金物のうち、ワインの購入にあてる部分を安く売っていることになる。

その部分の金物は製造業者にとっての価値が低くなり、それだけ労働意欲が低くなる。

国富論第五編第二章第二節第四項その2 消費財に対する税金

「製造した金物のうち、ワインの購入にあてる部分を安く売っていることになる」とは

物品税がかかるのが輸入された外国製品であれば、同様の製品を生産する国内産業の一部門が有利になって利刺激を受ける(労働需要が上昇する)。

しかし、それ以外の部門では、不利になるという。

思うに、その他の部門の事業者にとっては、資本の純利益のなかからその外国製品を贅沢品として買っていると考えられる。

そして、物品税によって外国製品の価格が高くなると、これまでの純利益を確保しなければならない事業者は、高くなった外国製品は買えなくなり、同様の製品で外国製品より安い国産品を買うことになる。

通常、事業者は通常の利益を獲得するために、利益率(粗利率)の異なる複数の製品を取り扱い、市場での需要に応じて、柔軟に製品ごとに投じる資本を調整している。

そして、贅沢品の購入代金にあてていた純利益部分は、それら複数の製品のなかでも、「通常の利益」以上の利益を獲得できる製品を販売することによって得られた部分と考えることができる。

しかし、贅沢品について安い国産品しか買えなくなった事業者は、その製品の販売価格も粗利も変わらなかったとしても、その製品の粗利が減少したように思えるだろう。

つまり事業者にとって、外国製品が高くなって買えなくなったということは、通常の利益以上の利益を獲得している製品について、物品税の分だけ安く売ることになったと解釈することもできるわけである。

そうすると、事業者にとって、その製品部門に対する価値が低下するので、その製品に投じる資本(労働)は減少することになる。


ある国の消費者が他国で余った商品を買うときの価格が高ければ高いほど、自国で余った商品のうち、外国商品の購入にあてる部分を安く売っていることになる。

余った商品のうちその部分の価値が低くなり、それだけその商品の生産を増やそうという意欲が低くなる。

このため、消費財に対する税金はすべて、生産的労働が本来より減少する要因になる。

国富論第五編第二章第二節第四項その2 消費財に対する税金

アダム・スミスは重商主義(貿易差額主義)を批判し、国の豊かさはその国の国民が消費する消費財の量で表されるとする。

そして、国内生産物の輸出は、海外からの輸入品を購入するための資金を得るための手段に過ぎないという。

しかし、外国商品が物品税によって価格が高くなった場合、自国で余った海外輸出用の商品の価格は変わらず、輸出量が増えるわけではないので、外国商品を購入する資金を十分に得ることができなくなる。

そうすると国内において、その海外輸出用の商品は、国内用費用の商品と比較してその価値は相対的に低下する。

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