ビールの麦芽税

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ビールの麦芽税

ビールにかかる税金はそもそも「麦芽税」という歴史があった。

麦芽税は、ビール製造の原料になる「麦芽発酵液」の分量に応じて課税される。

だから、麦芽発酵液を使わないで作られた「発泡酒」は安いのだ。

麦芽とビールに対する重い税で現在得られている税収より、麦芽だけに軽い税をかけた場合の税収の方が多くなるのではないかといわれている。

麦芽製造所より醸造所の方が税金をごまかす余地が大きいし、自家用の醸造では税金がすべて免除されているが、麦芽はそうなっていないからである。

国富論第五編第二章第二節第四項その2 消費財に対する税金

ビールの製造は「自家用」であれば、税金がかからなかった。

しかし、麦芽から製造すると税金がかかる。

なので、家庭で作る自家用のビールは麦芽から製造することは少ない。

しかし、醸造所では、通常、麦芽からビールを製造するので、ビール製造にかかる税金を「自家用」として、醸造分の税金をごまかす余地があった。

この点、関税収入では密貿易を減らすために、関税率を引き下げるという政策が効果的だった。

同様に、税金をごまかす余地の大きい醸造に対する税金は廃止して、麦芽税を引き下げて徴収する方が、ビール製造に対する物品税は増える可能性が高い。

こうして、ビール製造に対する税金は「麦芽発酵液」が対象になったようだ。

麦芽はビールの醸造に使われているだけでなく、各種蒸留酒の生産にも使われている。

・・・

麦芽蒸留酒の蒸留所では、醸造所や麦芽製造所にくらべて脱税が容易だし、誘惑もはるかに大きい。

脱税が容易なのは、商品の量が少なく価値が高いからである。

標準アルコール度の蒸留酒にかかる税金は、1ガロン当たり2シリング6ペンスだが、その原料になるアルコール度の低い蒸留酒にかかる税金を加えると、1ガロン当たり3シリング10.67ペンスになる。

麦芽の税率を引き上げ、蒸留酒の税率を引き下げれば、脱税が難しくなるし誘惑が小さくなり、財政収入がさらに増えるともみられる。

いまでは脱税を防ぐために、標準アルコール度の蒸留酒もあアルコール度の低い蒸留酒も、麦芽発酵液の分量によって課税されている。

国富論第五編第二章第二節第四項その2 消費財に対する税金

麦芽税の引き下げによる税収増加の期待は、ブランデーやウィスキーなど「蒸留酒」の方が大きいようだ。

醸造酒を蒸留器で加熱すると、沸点の低いエタノールが水よりも盛んに気化してくる。

この蒸気を集めて冷却することで液体に戻すと、元の醸造酒よりもエタノールが濃縮されているため、アルコール度数の高い酒になる。

これが蒸留酒である。

ウィキペディア「蒸留酒』

ちなみに、アダム・スミスはこういうことも言っている。

このところ、イギリスでは蒸留酒は庶民の健康を損ない、心が堕落する原因になるとの見方から、消費を抑える政策がとられてきた。

この政策のもとでは、蒸留酒の価格が下がるほどの率で税金を引き下げるべきではない。

蒸留酒はこれまでと変わらないほど高価格になるようにし、同時に、ビールなどの健康に良く、元気が出る酒が大幅に安くなるようにすることもできよう。

国富論第五編第二章第二節第四項その2 消費財に対する税金

ビールは健康に良くて、元気が出るらしい・・・・。

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