商業と農業の違い

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商業と農業の違い

商業の場合には、特定業種で資本の利益に税金がかけられれば、・・・・一部の商人はその業種から資本を引き揚げるので、市場への供給が以前より少なくなる。

商品価格が上昇し、税金は最終的に消費者が負担する。

しかし、・・・

農民はそれぞれある面積の土地を占有し、地代を支払っている。

この土地を適切に耕作するには、ある量の資本が必要である。

必要な資本の一部を引き揚げたときに、・・・

税金を支払うためには生産量を減らし、市場への供給量を減らすのは、農民にとって利益になる方法ではない。

このため、税金をかけられても農産物価格を引き上げることはできず、税金を最終的消費者に転嫁することはできない。

国富論第五編第二章第二節第二項 余論 特定業種の利益に対する税金

農業の特性

農業は地主に地代を支払うが、商業は地代は発生しないという前提である。

商店や製造業は、土地の地味の豊か如何は関係のない自身の土地を活用した小規模な事業であり、地代は生じない。

しかし農業は、土地の生産物によって利益を得る大規模な事業であり、その土地の地味はその資本の利益に大きく影響を与える、

そして、土地の生産物にかかる地代は、地主が、得られた地代から資本を投じ土地改良を行うことによって維持または増やすことができる。


発達した社会の農業経営者の資本の利益

社会が発達し、農民が事業主(資本家)となって自分の土地で農業経営を行う場合、その資本の利益は(地主の)地代と(事業主の)純収入を合わせたものである。

そして、純収入の部分は農業経営を継続するために必要な最低限の利益率であるから、地代または土地生産物である食糧の消費者(労働)によって負担されなければならない。

ただし、土地に資本を投入して一定の生産量を継続するためには、地代部分で負担することはできない。

したがって、地主自身が農業経営者となって農業を行うとき、その資本の利益にかかる税金を商業と同様に、その土地の生産物の価格に転嫁することができるかが問題となる。


発達した社会の農業市場の特性

この点、農民が地主となって農業経営を行うということは、イギリスのように社会が発展し、国民が生活に必要な食料の生産はすでに上回り、土地生産物は余剰利益が生じて地代に当てられることが前提と考えられる。

もし、その税金によって農業による通常の利益を得ることができない土地ということは、他の土地に比べて土地改良が進んでおらず、その土地の地味では農業経営は継続できないということである。

よって、そのような土地の地主は農業経営から引き揚げ、その土地で通常の利益が見込むことができる農業以外の事業に利用するはずである。

そして、国民の生活に必要な食糧は確保されている以上、一部の地主が農業経営から引き揚げたとしても、食糧が不足するということはないので、通常の利益が得られている農業経営者は、その税金部分を消費者(国民)に転嫁することはできない。

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