社会保険料、雇用主が全額負担
106万から130万で社会保険料を支払義務が生じたときは
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1004J0Q3A310C2000000/
130万円までは、雇用主が社会保険料を全額負担するという企業が出できた。
パート従業員の手取りが減る(正確には長く働いても社保料の負担分だけ手取りが減るだけで、働き損というわけではないが、実際に130万円まで働いていた人はその分手取りは減少する)ことで、時短する従業員が増えることへの身を切る対策だ
今は、人手不足、労働者の売り手市場だから神の手が働けば、時給を上げるか減少分を負担しないと、企業は従業員が集まらず事業継続できない
だか、あくまで暫定的な処置
最終的に社保料は誰が負担するのが公平か、という根本的なテーマに取り組むことになる
次は、130万円の壁が待っている
パート従業員といえば、正社員の親族(夫)の扶養に入って社会保険料を負担しなくてもいいという「お得な働き方」だった。
だから、130万を超えるといわゆる「働き損」という言葉は正確ではなく、そのお得感がなくなって働いても時給が減るつまり、130万までは1000円だったのが、130万を超えた分は時給が600円(扶養者の扶養控除までいれて計算するとこのくらいだった)になるという意味であり、実際に「働いて損する」わけではない。長く働いた時間は時給600円分の給料しかもらえないということだ。
130万を超えて働くということは、優遇措置がなくなる、つまり社会的に負担すべきものを負担するというだけの話だ。
日本の社会保障制度を維持するためには、誰がどういう形で負担するのが本筋なのか。
原点に戻ってれば、受益者である労働者全員が公平に負担するのが当然なのだ。
といっても、今までの「お得な働き方」制度がなくなるということは、パート労働者の労働意欲が低下する。そうすると国の生産性の向上にはつながらない。
労働生産性は、GDPつまり国内総生産に影響を与え、労働生産性を決めるのは最終的には国民の労働意欲である。
じゃあ、全労働者が社会保険料を負担しても労働者の意欲が低下しないようにするためにはどうしたらいいのか。
結局は、その分、企業が賃金を上げればいいだけの話だ。
人手不足=賃金上昇という、労働市場の原則に立ち帰ればいいだけだ。
戦後、相変わらず優遇してきたものの、すでに「死語」となりつつある「専業主婦」「3号被保険者」「配偶者 (特別)控除」という優遇措置をなくし、労働市場は「神の手に任せる」という原則に落ち着く。
男女雇用機会均等法のときに、将来を見据えて新たな制度設計をしておくべきだったのが、当時はまだまだ「寿退社」「専業主婦」という女性の永久就職が主流だった。元来保守的な自民党政治、簡単に優遇措置を廃止するようなことはできなかったのだろう。日本が本当の社会主義国家と言われるのも無理はない。
思うに、新型コロナのパンデミックという環境変化が起因である。
今まで「黒船」「敗戦」という、いわゆる「外圧」でしか変わることができなかった日本人。黒船から敗戦まで約100年の間がある。そして敗戦から約80年、またそろそろ目覚めるときではないか。