生産者は税金を負担しない
独占価格によって通常の利益よりも高い利益率を獲得していた生産者又は地主は、新たに税金をかけることによって、資本の利益又は地代が低下し、通常の利益や地代に近づく。
独占価格の場合、税金を消費者に負担させることはできず、それ以上価格を上げることはできないので、生産者が資本の利益のなかでその税金分を負担することになる。
麦芽やビールに対する各種の税金によって大麦の価格が下がったことはなく、大麦畑の地代と利益が下がったこともない。
醸造業者が支払う麦芽の価格はつねに、麦芽にかかる税金に比例して上昇している。
そして、麦芽に対する税金とビールに対する各種の税金によって、消費者とってはその価格が上昇しているか、品質が低下している。
これらの税金はつねに最終消費者の負担になっており、生産者の負担になっていない。
国富論第五編第二章第二節第四項その2 消費財に対する税金
しかし、資本の利益が独占価格による高い利益率ではなく、通常の利益率の場合は、税金分を資本の利益のなかで負担すると、事業を継続できない。
よって、価格を上げることによって、消費者がその税金分を負担することになる。
そして、その税金の源泉は労働の賃金であるところの「労働」である。