スージー＆ザ・パンシーズ
スージー＆ザ・バンシーズ（Siouxsie and the Banshees）は、1976年にイギリス・ロンドンで結成されたポストパンク・バンドです。バンドのオリジナルメンバーには、ボーカリストのスージー・スー（Siouxsie Sioux、本名：スーザン・ジャネット・バリン）とベーシストのスティーヴ・セヴェリン（Steve Severin）が含まれます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Siouxsie_and_the_Banshees
https://en.wikipedia.org/wiki/Siouxsie_Sioux
結成と初期の活動
バンドは、1976年のセックス・ピストルズのコンサートに影響を受けて結成されました。初期のラインアップには、セックス・ピストルズのメンバーであるシド・ヴィシャスがドラマーとして参加していました。初期のパフォーマンスでは即興演奏が中心でしたが、徐々にオリジナル曲を作り始め、1978年にデビューアルバム「The Scream」をリリースしました。このアルバムは、革新的なサウンドとダークなリリックで評価され、バンドの地位を確立しました。
1978年から1982年
バンドは続く数年間で多くのアルバムをリリースし、そのサウンドは進化を続けました。「Join Hands」（1979年）、「Kaleidoscope」（1980年）、「Juju」（1981年）、「A Kiss in the Dreamhouse」（1982年）などが代表的なアルバムです。特に「Juju」は、ゴシックロックのクラシックとして広く評価されています。
メンバーの変遷
スージー＆ザ・バンシーズのメンバーは何度も変わりましたが、スージー・スーとスティーヴ・セヴェリンはバンドの中核をなす存在でした。ギタリストにはジョン・マッギオーク（John McGeoch）やジョン・ヴァレンタイン・カー（John Valentine Carruthers）などが参加し、ドラマーにはバドギー（Budgie）が加わりました。バドギーは後にスージー・スーと結婚し、彼女とのデュオプロジェクト「ザ・クリーチャーズ（The Creatures）」でも活動しました。
1983年から1996年
1983年、バンドはビートルズの「Dear Prudence」をカバーし、これがヒットしました。1984年にはアルバム「Hyaena」をリリースし、1986年には「Tinderbox」、1987年には「Through the Looking Glass」をリリースしました。これらのアルバムは、バンドの音楽的な幅広さを示しています。
1991年にリリースされた「Superstition」には、ヒットシングル「Kiss Them for Me」が収録されており、これはアメリカのチャートでも成功を収めました。1995年にリリースされた「The Rapture」を最後に、バンドは1996年に解散しました。
その後の活動
スージー・スーとスティーヴ・セヴェリンは、それぞれソロプロジェクトや他の音楽プロジェクトに取り組みました。2002年には、バンドは一度だけ再結成し、ツアーを行いました。スージー・スーはその後もソロアーティストとして活動を続け、多くのファンに支持されています。
音楽的影響と評価
スージー＆ザ・バンシーズは、その独自の音楽スタイルとビジュアルで、多くの後続のアーティストやバンドに影響を与えました。彼らの音楽は、ポストパンク、ゴシックロック、ニューウェーブなどのジャンルにおいて重要な位置を占めています。バンドの革新性とクリエイティブなアプローチは、音楽史において重要な遺産となっています。
ポストパンク
ポストパンクは、1970年代後半から1980年代初頭にかけて発展した音楽ジャンルで、パンクロックから派生したものです。このジャンルは、パンクのエネルギーとDIY精神を維持しつつ、より実験的で多様な音楽スタイルを取り入れました。ポストパンクは、パンクロックのシンプルで直接的なアプローチを超え、より複雑な音楽構造やテーマに焦点を当てました。
歴史的背景
1970年代後半、パンクロックは英国とアメリカで爆発的に広がりました。セックス・ピストルズ、クラッシュ、ラモーンズなどのバンドがパンクの先駆者として知られています。しかし、パンクシーンが商業的に成功し始めると、その単純さと限られた音楽的範囲に不満を感じるミュージシャンたちが現れました。彼らは、パンクのエネルギーを保持しつつ、新しい音楽的可能性を探求することを目指しました。
音楽的特徴
ポストパンクの音楽的特徴は非常に多様ですが、以下の要素が一般的に見られます：
- 実験的なアプローチ：ポストパンクのバンドは、異なるジャンルやスタイルを取り入れ、サウンドの多様性を追求しました。ファンク、ダブ、エレクトロニカ、アヴァンギャルドなどの要素が取り入れられることが多いです。
- 複雑なリズムとベースライン：ポストパンクの音楽は、複雑なリズムパターンや際立ったベースラインを特徴とします。ベースギターはしばしばリード楽器として機能し、曲の中心となります。
- ダークで内省的な歌詞：ポストパンクの歌詞は、パンクの反抗的な姿勢を保持しつつも、より内省的でダークなテーマを扱います。個人の苦悩、社会の不安、政治的な問題などがテーマとなることが多いです。
- 非伝統的なボーカルスタイル：ボーカルスタイルは多様で、しばしば感情的で演劇的なアプローチが取られます。スージー・スーのように強烈な個性を持つボーカリストが多いのも特徴です。
代表的なバンドとアルバム
ポストパンクの代表的なバンドとその重要なアルバムには、以下のようなものがあります：
- ジョイ・ディヴィジョン（Joy Division）：アルバム「Unknown Pleasures」（1979年）、「Closer」（1980年）。暗く内省的な音楽スタイルとイアン・カーティスの独特のボーカルで知られています。
- ザ・キュアー（The Cure）：アルバム「Seventeen Seconds」（1980年）、「Pornography」（1982年）。ゴシックロックの要素を取り入れたサウンドが特徴です。
- パブリック・イメージ・リミテッド（Public Image Ltd.）：アルバム「Metal Box」（1979年）。ジョン・ライドン（元セックス・ピストルズ）が率いるバンドで、実験的なサウンドが特徴です。
- ギャング・オブ・フォー（Gang of Four）：アルバム「Entertainment!」（1979年）。政治的な歌詞とファンキーなリズムが特徴です。
- エコー＆ザ・バニーメン（Echo & the Bunnymen）：アルバム「Crocodiles」（1980年）、「Heaven Up Here」（1981年）。メロディアスなサウンドとダークな歌詞が特徴です。
影響と遺産
ポストパンクは、その後の多くの音楽ジャンルやアーティストに影響を与えました。ニューウェーブ、オルタナティブロック、ゴシックロック、インディーロックなどのジャンルは、ポストパンクの実験的精神と音楽的探求から多くの影響を受けています。