三角形と労働
交換経済における物の価値は、三斜法に例えられた。
では、物の価値を測定にあたって、三斜法の「三角形」に相当するものは、具体的に何か?
そこで、これらの労働生産物に残っているものを考察しよう。
これらのものが表しているのは、もはやただ、これらの物の生産に人間的労働力が支出されており、人間的労働が堆積されているということだけである。
物は、労働によってしか作ることができないので、その価値は「労働の結果」「労働の塊」という労働生産物としてしか見ることができない。
したがって、ある使用価値または財が価値を持つのは、そのうちに抽象的人間的労働が対象化または物質化されているからにほかならない。
物の価値は、労働生産物の中にある「労働」の「量」として物質化、つまり「三斜法」における三角形のように具体的に測ることができる共通物で測るしかない。
では、どのようにしてその価値の大きさは計られるのか。
それに含まれている「価値を形成する実体」、すなわち労働の、分量によってである。
労働量そのものは、その継続時間によって計られ、労働時間はまた、時間、日などのような一定の時間部分を度量基準としている。
つまり、三角形とは「労働」であり、三角形の面積とは、「労働時間」ということになる。