外国人資本の商業活動
外国人の資本によっても、自国民の資本による場合と同じように、余った生産物を国内に需要のある何かと交換するので、余った生産物が価値を持つようになる。
余った生産物を生産した人が資本を回収できるようにする点でも、その人が事業を続けられるようにする点でも、外国人の資本は自国民の資本と変わらない役割を果たす。
そして卸売り業の資本が生産的労働を支え、自国の社会で年間の生産物の価値を高めるのは主に、この役割によってである。
国富論第二編第五章 資本のさまざまな用途
商業活動についていえば、外国人資本であっても国内の資本蓄積への貢献は自国民の場合とほとんど変わらない。
商人はその資本でさらに、商品をある地域から別の地域に運ぶ船員と運送人を雇っており、商人の利益以外に、これらの人の賃金の分だけ、商品の価格を高めている。
商人が資本によって直接に雇用する生産的労働はこれだけであり、年間の生産物に付け加える価値はこれだけである。
国富論第二編第五章 資本のさまざまな用途
卸売業のような商業活動の生産的労働(付加価値)は輸送費だけで、この労働が自国民によるものであれば、資本が外国へ流出することはほとんどない。
商人が資本の利益を国内で消費すれば流出すればゼロである。
製造業の資本が国内にあることは、もっと大きな意味を持つ。
この資本はつねに、雇用する生産的労働者の量も、社会の土地と労働による年間生産物に付け加える価値も、卸売り業より多い。
国富論第二編第五章 資本のさまざまな用途
外国人資本の商業活動は、国内の余剰生産物を輸出することにより金銀通貨の還流が促進され、国内の通貨流通量が増加し、商品の生産と消費が刺激を受ける。