デジタル通貨
どの国でも、国内の取引は二つの部門に分かれていると考えることができる。
事業者間の取引と、事業者と消費者間の取引である。
事業者間で取引される商品の総価値は、事業者と消費者の間で取引される商品の総価値を上回ることはない。
事業者が購入する商品は最終的に消費者に販売されるからだ。
事業者間の取引は卸売り取引なので、個々の取引にかなりの大きな額の通貨が必要になるのが一般的である。
これに対して事業者と消費者の間の取引は一般に小売り取引なので、ごく少量の通貨しか使われず,1シリングかときには0.5ペンスの通貨で十分である場合も多い。
だが、小額の通貨の方が大きな額の通貨よりもはるかに速く回転する。
消費者全体の年間購入額は、事業者全体の年間購入額と少なくとも変わらないが、消費者の取引に必要な通貨の総額は少額の通貨の回転数が多いだけで通常はるかに少ない。
小額通貨の方が回転が速いため、同じ額でもはるかに大量の取の手段として使われる。
国富論第二編第二章 資本の性格、蓄積、利用
デジタル通貨はその利便性から、少額通貨よりもっと回転が速くなるだろう。
そうすると、実際に流通する通貨がデジタル通貨に置き換われば、回転数が速くなった分だけ取引量が増えて資本の増加速度も速くなるように思える。
もっとも、余剰生産物(在庫)に対して消費者の消費意欲があればの話だけれども・・・・