一円知行から幕藩体制へ
日本では、一円知行による大名の一元支配は室町後期からさらに拡大し、「守護大名」の時代から戦国時代を経て「江戸幕府」に至ると、朝廷が支配する領地(荘園)はほぼなくなり、朝廷の収入源は幕府・大名が支配・管理する「幕藩体制」となる。
幕藩体制の日本は、朝廷による国の財政収入の支配・管理が消滅したことによって、天皇(国王)の内政上の権限はなくなり、事実上、国を一元支配する「国王」は存在しなくなったといえる。
これは17〜18世紀における、神聖ローマ帝国(ドイツ連邦)やスイス連邦、ネーデルランド連合(オランダ)のような、事実上は小国連合国家となったこと意味する。
ヨーロッパにおいては、18世紀から19世紀にかけて、フランス・スペインのような絶対王政(〜18世紀)、イギリス・ドイツのような立憲君主制、フランス・オランダ・イタリアなどの共和政のような、国家を一元支配する近代的政治体制が整ってきた。
しかし、日本の江戸時代においては、内政的には幕藩体制という「封建制」と、対外的には鎖国という「国家防衛体制」が19世紀中頃の明治維新まで続くことになる。