赤字国債
徴税区内で各教会区が負担する税額と、教会区内で各個人が負担する税額も、やはりそれぞれの状況に関する推定に基づいて年ごとに変動する。
・・・・このため納税者は課税額を通知されるまで、税額を確実に知ることができない。
そして課税額が決まった後ですら、確実になったとはいえない。
免税されるべきなのに課税された人や、適切な比率以上に課税された人もいったんは納税する義務を負うが、その後に異議を申し立ててその主張を立証できれば、教会区の全納税者が翌年に、払い戻しに必要な額を追加課税される。
納税者のうち誰かが破産するか税金を支払えなくなった場合、徴税人が税を建て替えなければならず、教会区の全納税者が翌年に、払い戻しに必要な額を追加課税される。
徴税人が破産した場合、その徴税人を選んだ教会区が徴税区の収入役に対して責任を負うことになる。
だが収入役にとって教会区全体を訴えるのは面倒なのでとくに豊かな五人か六人の納税者を任意に選んで、徴税人の破産によって受けた損失を償うよう義務づける。
そして教会区の前納税者が翌年に、この五人か六人への払い戻しに必要な額を追加課税される。
こうした追加課税はかならず、その年の課税額に上乗せされる。
国富論第五編第二章第二節第二項 余論 特定業種の利益に対する税金
「払い戻し」とは、国家財政がその年に必要な経費を賄えず「赤字国債」を発行することに似ている。
「追加課税」は、その赤字国債の支払いを、翌年の税金によって埋め合わせるために必要な課税と同様である。