家賃収入にかかる税金
税金のことを考える場合、その税を負担する者と実際に支払う者が誰か、そしてその収入は何かを明確にしないとチンプンカンプンになる。
税金の負担者と支払い者が同一の場合、税金が生じる収入とその収入を生じる源泉は、直接の課税対象といえる。
国富論第五編第二章第二節第一項その3 家賃に対する税金
家賃は二つの部分に分けることができ、一方は家屋賃料と呼ぶのが適切であり、他方は通常、敷地地代と呼ばれている。
不動産事業(不動産賃貸業)の賃料収入のうち、建物を源泉とする収入が「家屋賃料」であり、その建物が建てられている土地を源泉とする収入が「敷地賃料」である。
不動産賃貸業が他の業種と同等になるためには、家屋賃料は以下の二つを合計した金額に十分に達していなければならない。
第一に、同額の資本を確実な担保をとって貸した場合に得られる利子に見合う金額である。
第二に、家屋をつねに修繕し維持していける金額、つまり、家屋の建設に使われた資本をある数年以内に回収できる金額である。
国富論第五編第二章第二節第一項その3 家賃に対する税金
「不動産賃貸業が他の業種と同等になる」とは、不動産の所有者が、その不動産を手放すことなく不動産賃貸業を続けることができるような一定の(最低限の)利益を確保できるということである。
そのために必要な「家屋賃料」は、建物の建設資金の借入に必要な経費(利子)と、常に家賃収入を得ることができる状態に建物を維持する費用(減価償却費)の合計額を超える額でなければならない。
家賃全体のうち、この適正な利益の確保に必要な金額を上回る部分は、自然に敷地地代になる。
敷地と建物で所有者が違うときにほとんどの場合、この部分がすべて敷地の所有者に支払われる。
国富論第五編第二章第二節第一項その3 家賃に対する税金
敷地地代は、建物の建てられた土地(敷地)の地代として地主の収入となる。
なぜなら、不動産賃貸業を続けるための最低限の利益を上回る「余剰利益」は、「資本の利益」以外の「労働」または「地代」に充てられるが、不動産賃貸業において「労働」はほとんど必要としないため「敷地地代」として土地の所有者の利益となる。
家賃に対する税金は、それぞれの住宅の借り手が納税義務を負い・・・
国富論第五編第二章第二節第一項その3 家賃に対する税金
家賃収入のうち「敷地地代」は地主の収入となり、「家屋賃料」は利子と減価償却費充てられるので、不動産賃貸業を続けることができる一定の(最低限の)利益を確保するためには、家賃収入に対する税金は、建物の賃借人から徴収する家賃全体に転嫁しなければならない。
よって、家賃収入に対する税金の支払者は建物の所有者であるが、その税金の負担者は建物の賃借人となる。