タバコ
https://www.y-history.net/appendix/wh1002-082_2.html
タバコ(煙草)は、アメリカ新世界のインディオによって栽培され、用いられていた。
それがヨーロッパに知られたのは、コロンブスの西インド諸島到達によってであった(彼らが喫煙の習慣をヨーロッパに持ち帰ったわけではない)。
やがて西インド諸島を制圧したスペイン人が喫煙の習慣を「タバコ」tabaco というスペイン語とともに、ヨーロッパにもたらした(16世紀前半のこと)。
17世紀の三十年戦争をつうじてヨーロッパ中に広がった。
1612年に、ヴァージニア植民地のジェームズタウンで、ジョン=ロルフが煙草の栽培とその葉の乾燥に成功、早くも1619年には黒人が奴隷としてヴァージニアに「輸入」され、黒人奴隷を労働力としたタバコ・プランテーションが形成され、イギリス本国への重要な輸出品となった。
本国のジェームズ1世は『タバコへの反論』という本を自ら書くほどタバコ嫌いの国王だった。
ジェームズ1世はタバコを規制するためにスペイン植民などからの輸入に高い関税をかけたが、タバコの消費は逆に増加し、関税の増収という結果をもたらした。
そこで政府は重商主義政策の一環として、1624年にタバコ栽培をヴァージニアなどの自国植民地に限定した。
さらに1660年の航海法などでタバコは砂糖、インディゴ(藍)などとともに生活上・軍事上重要な植民地産物に指定され、外国への直接の輸出が禁じられた。
こうしてタバコはイギリス重商主義の「航海法体制」の不可欠の要素に組み込まれた。