農業は分業が難しい
農業はその性格上、製造業のように労働を細かく分割することができないし、仕事を完全に分離することもできない。
鋤で耕す作業、鍬で鳴らす作業、種を蒔く作業、穀物を借り入れる作業は、全て同じ人が行うことが多い。
これらの作業はどれも、四季の中で必要となる時期が違っているので、一人がどれか一つの作業を年間通して続けることはできない。
農業ではこのように、それぞれの作業を完全に分離するわけには行かない点がおそらく原因になって、労働の生産性が製造業と同じ程度に向上するとは限らなくなっている。
国富論 第一編 第一章 a.4