アナログレコード
MHK 、美の壷「麗しの音色 レコード」 初回放送日: 2021年2月5日
2022年11/4 (金) 〜 11/6 (日)
10:00〜17:00 (最終日のみ16:00終了)
放送内容
朝ドラ主題歌の秦基博さんが語る、レコードの魅力とは?▽レコードの製造工場に潜入!レコードの溝を彫るエンジニアの緻密な技に迫る!▽大正時代創業の名曲喫茶では、珍しいプレーヤーと巨大スピーカーが、クラシックの極上の響きを奏でる!▽6万枚のレコードを持つコレクターが紹介する、レコードジャケットの楽しみ方。▽国内外のジャケットを手がける、デザイナーの制作現場にも密着!
アナログレコードの存在意義
デジタル録音されたマスターテープをアナログに変換して、LPレコードを製作・販売する意義とは
録音の歴史
Wikipediaより抜粋録音の歴史は、1877年にトーマス・エジソンが円柱型アナログレコードを開発した事に始まる。なお1857年にはエドアード・レオン・ スコットによるフォノトグラフと呼ばれる装置もあったが、フォノトグラフは音声を波形図に変換する地震計のような装置で、当時は音声を再生する事は出来なかった。
1889年、ブラームスはエジソンの依頼により、自曲『ハンガリー舞曲第一番』とヨーゼフ・シュトラウスのポルカ・マズルカ『とんぼ』を自らピアノ演奏して録音した。これが史上初のレコーディングとされている
。 また、1927年にはそれまで無声映画であった映画に音声を記録するトーキーが発明された。これは映像を記録するフィルムの余白部分に音声信号を光学的に記録したものである。
その後、1世紀近くはアナログレコードの天下が続いた。簡易的な録音はアセテート盤によって行われていた。この録音技術はレゲエでは長く使われダブ・プレートと呼ばれている。
1938年にはドイツで磁気テープが開発され、1963年にはオランダフィリップス社が磁気テープをカートリッジ化したコンパクトカセットを発表、一般の録音記録需要ではこれが利用されるようになっていった。ただ当時の磁気テープはテープ素材の関係で伸びやすく、繰り返しの録音・再生で劣化しやすかった。このため繰り返しの再生が求められるメディアは、専らレコードが優位とされていた。
この磁気テープとレコードの時代を激変させたのが1979年のフィリップス社とソニーの共同開発によるコンパクトディスク(CD)の発表である。ソニーが早々とアナログレコードの生産を打ち切ったこともあり、傷や埃に極めて弱く、また繰り返し使えば磨耗するレコードは10年と経たずにCDに取って代わった。しかしディスクジョッキーやオーディオマニアといったアナログレコードの支持層がいるため、レコード盤、プレーヤー、レコード針の生産は現在でも細々と続いている。
磁気テープ
磁気テープ(じきテープ)とは、粉末状の磁性体をテープ状のフィルムにバインダー(接着剤)で塗布または蒸着した記録媒体で、磁化の変化により情報を記録・再生する磁気記録メディアの一分類である。
オーディオ用、ビデオ用、データ/コンピュータ用などの用途で用いられる。
オーディオ用
アナログ
オープンリール – 多くは約6mm幅(1/4インチ)のテープ。業務用マルチトラックレコーダーは最大2インチ幅まである。
デジタル
オープンリール – 業務用録音機器で使用される。
業務用マルチトラックレコーダー(MTR)
マルチトラック・レコーダー(多重録音機、マルチトラック・レコーダ、Multi Track Recorder、MTR、マルチトラッカー)は、録音用機器の一つである。特に音楽制作に多用される。 テープ媒体やディスク媒体を用い、2トラック以上の複数の録音トラックの録音再生を行う事ができる録音機器である。通常のステレオ録音再生機と異なり、それぞれのトラックに対し、個別に録音、再生を選択する事ができるのが特徴である。
商用音楽における利用の歴史
プロ仕様機種に関しては、アメリカ合衆国(以降、「米国」)に於いては1950年代後半、イギリス(以降、「英国」)では1960年代初頭には2トラック録音が主流となった。
1950年代終盤から1960年代前半までには、日本も含めて各国で4トラックが普及し、8トラック録音に関しては、米国では1960年代半ば(代表作品;ザ・ビーチ・ボーイズのアルバムペットサウンズ)、英国に於いては、1960年代後半(代表作品;ビートルズのシングル「ヘイ・ジュード」)あたりから主流となった。日本に於いては、1970年代初頭以降に普及したといわれている。
1970年代の短い16トラックの期間を経て、1970年代半ばから80年代半ばまでの間は、アナログ24トラックが主流であった。トラック数の不足を伴うために複数台のアナログ・レコーダーをシンクロナイザーとSMPTEタイムコードにより同期運転する手法も用いられていた。
3M社のシステムから始まったデジタルMTR(磁気テープ方式)はソニー製のPCM-3324及び三菱のX-800の発売によって、1980年代半ばから、普及期に入った。ソニー製のPCM-3348(48トラック)がデファクトスタンダードとなり、2000年代初頭頃まで利用された。
1980年代後半には、コンピューター連動の大型シンセサイザーの一種である、フェアライトCMIやシンクラヴィアなどによる、複数チャンネルでの長時間サンプリング機能を使用した、テープレスレコーディングも、一部で行われた(例えばイエス再結成後のアルバム『ビッグ・ジェネレイター』。「シンクラヴィア」使用)。
20世紀終盤以降は、一部の例外以外はデジタル録音が主流となり、21世紀以降は記録媒体がテープからハードディスクに移行して現在はパソコンで動作するDAWソフトウェアのみとなってきている。
デジタル音源のアナログレコード化
同じ音源をCDとレコードで聴くと、かなり印象は異なるのでしょうか。
冬木:同じ音源とはいえ、実はCDとレコードではダイナミックレンジが全然違うので、それぞれ別のマスタリングをすることが多いのです。
CDはデジタルの特徴を生かして、比較的音の輪郭を強調したマスタリングがされる傾向にあります。音としては、はっきり、くっきりした感じです。
一方でレコードでは大きな音を入れると歪みやすいので、メリハリの効いた音というよりも、滑らかで自然な音が聴けるように仕上げられることが多いです。
このあたりはアナログ時代から長年培ってきたマスタリングの経験をもとに作り込んでいます。それが結構大変なんですけどね(笑)。
レコードの「滑らかさ」は音楽としてはどのような点でメリットがでてくるのですか。
冬木:私の印象では、たとえば歌手のブレスや息づかい、あるいは細かいビブラートのニュアンスなどが、レコードの得意なところだと思います。
「スタジオで聴いていた音が、そのままレコードに刻まれ、お客さまのところまで届いている」という感じがします。
カートリッジを変えるとそんなに音が変わるんですか?
田林:全然違いますね。
CDの場合は電源やD/Aコンバータを変えることで音が変わりますが、その差とは比べものにならないぐらい大きく変わります。
正直言ってまったく違う音楽として聴こえるぐらいのカートリッジもあるほどです。
ですから私たちコロムビアでは、基準としてデノンで現在も生産されている銘機、DL-103というカートリッジを使用しています。
最後に一言、レコードを聴く愉しさとは、どんな点でしょうか。
田林:アナログの音の独特なあたたかみや艶といった魅力を味わうなら、いわゆる「歌モノ」を聴くことをおすすめします。
普段聞いているデジタル音源の曲をアナログ盤で聴くと、「へぇ、こういう印象なんだ」と感じてもらえると思います。 数値的じゃない、感性どころの違いを感じてもらうことができれば一番いいですね。
冬木:私が考えるレコードの魅力は、「音楽を聴く姿勢」にあると思います。
レコードプレーヤーでアナログ盤をかける時って、ちゃんと回っているか、針がきちんと置けているかなど、プレーヤーの状態も見ている必要もあります。
だから自然と「何もせずちゃんと音楽を聴く態勢」になりますよね。 デジタル音源って、何かをしながら聞いていることが多いと思うので、あまりそういう聴き方がされていないと思うんです。レコード盤にはランダム再生もリピートもありませんから、曲順もアーティストが決めた順番ですしね。
それとジャケットも大きなポイントで、素敵なジャケットを見たり、ライナーノーツを読んだりしながら音楽を聴くのも楽しい体験だと思います。