新憲法施行後の法令の効力

食糧管理法の合憲性と憲法第二十五條第一項


昭和23年9月29日

 昭和()

大法廷判決

棄却

(全員一致)

食糧管理法違反


憲法第25條第一項は、すべての國民が健康で文化的な最低限度の生活を營み得るよう國政を運營すべきことを國家の責務として宣言したものである。すなわち國民は、國民一般に對して概括的にかかる責務を負擔しこれを國政上の任務としたのであるけれども、個々の國民に對して具體的にかかる義務を有するものではない。されば、上告人が、右憲法の規定から直接に現實的な生活權が保障せられ、不足食糧の購入運搬は生活權の行使であるから、これを違法なりとする食糧管理法の規定は憲法違反であると論ずるのは、同條の誤解に基く論旨であつて採用することを得ない。同法は、國民全般の福祉のため、能う限りその生活條件を安定せしめるための法律であつて、まさに憲法第25條の趣旨に適合する立法であると言わなければならない。されば、同法を捉えて違憲無効であるとすると論旨は、この點においても誤りであることが明らかである。

明治二十三年法律第八十四号と昭和22年法律第72号


昭和27年12月24日

 昭和25(れ)723

大法廷判決

原判決破棄・免訴

(反対意見一名・補足意見一件)

銃砲火薬類取締法施行規則違反


鉄砲火薬類取締法施行規則第四五条の規定は、昭和二二年法律第七二号<q>日本告憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律</q>第一条により昭和二三年一月一日以降は国法としての効力を失つたものである。

マッカーサー書簡による公務員の労働争議の禁止


昭和28年4月8日

 昭和24(れ)685

大法廷判決

棄却

【意見】栗山茂

【反対意見】真野毅

昭和23年政令第201号違反


一 昭和20年勅令第542号は日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有する。

二 昭和23年政令第201号昭和20年勅令第542号に基く命令である。

三 (イ)書簡は連合国最高司令官の要求である。

四 (ロ)昭和20年勅令第542号に基く命令を発し得るのは国会の議決に求めるいとものない場合に限らない。

五 (ハ)書簡にいわゆる公務員とは高級官僚のみならず下級官僚及び現場官庁従業員をも意味する。

六 (ニ)政令第201号が当時係属中の国または地方公共団体を当事者とする労働争議の斡旋、調停または仲裁に関する手続を中止すると規定しても書簡の要求範囲を逸脱したものではない。

七 (ホ)政令第201号が公務員の団体交渉権を禁止しながらその労働条件の改善について別途の措置を講ずるとしたことは書簡の要求範囲を逸脱したものではない。

八 昭和23年政令第201号は憲法第二八条に違反しない。

九 昭和23年政令第201号は憲法第一八条に違反しない。

一〇 公務員がその争議行為を禁止されたからとてその当然の結果として健康で文化的な最低限度の生活を営むことができなくなるというわけのものではないから、本件政令憲法25条に違反するという主張も採用し難い。

一一 被告人等の所属するA組合B支部C機関区分会が国家公務員法反対、五二〇〇円ベース即時実施、芦田内閣打倒等の項目を掲げて闘争方針を定めかつ又機関区の職員が庫内手や機関車乗務員の劣悪な待遇の改善に関する政府の冷淡な態度に対し被告人等の当然の権利を奪還するため、あるいは憲法、ポツダム宣言に違反し団体交渉権を奪う政令第201号の無効なものであるとの主張を掲げ、政府に対し右主張を貫徹するため、その闘争手段として、職場を離脱した場合は政令第201号第二条第一項の争議手段にあたる。

一二 昭和23年政令第201号は労働組合法、労働関係調整法にかかわりなく有効である。

一三 昭和二三年法律第二二二号国家公務員法の一部を改正すう法律附則第八条は、国鉄従業員が日本国有鉄道法、公共企業体労働関係法が施行され国鉄従業員が公務員たる身分を喪い且つその争議行為について罰則の規定がなくなつても国家公務員たる身分を有していた当時の政令第201号第一項違反行為に対する罰則の適用については依然として同令第三条によるという意味である。

一四 昭和23年政令第201号に業務の運営能率を阻害する行為というのは具体的結果の発生を必要とするものでなく争議手段としてなされた行為が国または地方公共団体の業務の運営能率を阻害する危験性あるものであれば足りる。

占領目的阻害行為処罰令違反と講和条約発効後の免訴


昭和二十五年政令第325号違反


所謂アカハタ及びその後継紙、同類紙の発行停止に関する指令についての昭和25年政令第325号違反被告事件は、講和条約発効後においては刑の廃止があつたものとして免訴すべきである。